世界のアートの中心都市NY。そこでは、数え切れない程のアーティストが成功を夢見て世界中から集い、しのぎを削っている。様々な民族性、文化を背景に産み出された作品群は、これまで世界のアートシーンをリードしてきたといえよう。しかし、近年、世界が徐々にアジアのアートシーンに目を向け始めている。アジア独自の文化、宗教、そして哲学等を背景にした東洋の美術は西洋美術にとって、ただ単に形を異とする存在というだけではない。彼らが持ち合わせない美のエッセンスを秘めた興味深い存在として在る。日本に関しては言うまでもない。歴史、伝統、文化を基盤として産み出されて来た美術作品はもちろんのこと、現代のテクノロジーの発達によって表現手段が多様化され、世界を席巻したものまで存在する。アニメーションの世界的台頭もまた、その一例であろう。それらは今後の現代美術において、革新的な方向性を指し示しつつある。いわば、世界のアートはアジア、特に日本を中心に回りだしたといっても過言ではない。

このような新時代において、今回、世界都市NYと福岡とをダイレクトに繋ぎ、美術をとおした東西相互の文化交流を旨とし、美術展「BEYOND NEW YORK 〜果てしなき夢へ向かって〜」の企画を試みるに至った。

福岡は、日本の都道府県の中で、最もアジア諸国に扉を開いてきた県である。現在もアジアとの国際交流に重点を置き、継続的に様々な交流企画を重ねている。それをとおして、経済、教育、そして美術でも多くの成果をもたらしてきたことは言うまでもない。まさにアジアの玄関であり、アジア文化結集の地であるといえよう。しかしながら、そのような福岡も西洋諸国との文化交流の機会は少なかったように思われる。情報化、グローバル化により世界の情報は、容易に獲得することが可能にはなったが、両者が直接触れ合うことは少なかった。従って、今回は企画第一弾として、NYを中心に創作活動に励んでいる若手作家をアジアの玄関、福岡県北九州市に招き、美術展覧会を催したい。それにより、両者の融合を図り、東西の文化とそれから生じる美術概念の相違を相互に認識する機会を得ると共に、今後の美術の動向を模索する場を提供したいと考える。今回の企画により、アジアの代表都市ともいえる福岡県北九州市とアメリカNYを繋ぐことは、いわば世界の美術、文化を一つに繋ぐことを意味するともいえよう。そして、この結びつきがやがて東西諸国の太いパイプラインとなり、相互の文化交流に寄与できることを切に願うものである。更に、今後のアートシーンにおける、両者の更なる発展と飛躍を願うと共に、この企画が美術の新しい時代を切り開くきっかけとなることを期待してやまない。


                                                                    エーフォレスト・プロジェクト / A-forest Project